アンダーアーマーとステフィン・カリー。
2013年から始まったこの伝説的なパートナーシップは、バスケットボールシューズの歴史に「Flow(フロー)」という革命を起こしました。
そして2026年現在、私たちは一つの大きな歴史的転換点に立ち会っています。
今回レビューするのは、アンダーアーマーが放つカリーシリーズの集大成、『CURRY 13』(カリー13)です。
2025年11月にアンダーアーマーとの契約期間が満了し、カリー本人が特定のブランドに縛られない「スニーカー・フリーエージェント」として様々な一足を履きこなす中、この「カリー13」はアンダーアーマー製のシグネチャーとして最後のナンバリングモデルとなる、極めて特別な意味を持っています。
これまでのシリーズが「軽量性」と「素足感覚」を追い求めてきたのに対し、今作が提示したのは、圧倒的な「剛性」と「サポート力」を兼ね備えた「バッシュとしての完成形」でした。
NBA史上最強のシューターのプレースタイルを支え続けた13年間。
その間、多くのファンやプレーヤーが「Flowモデルはグリップ力は凄いが、サポート性や耐久性に不安がある」という課題を感じていたのも事実です。
しかし、カリー13はその懸念に対するアンダーアーマーからの「完璧な回答」として設計されています。
カリー本人が契約満了後に多種多様なブランドの靴をテストしているという事実は、裏を返せば、このカリー13が「アンダーアーマーの技術を全て注ぎ込み、カリーという天才を納得させるために作った最後の切り札」であることを示唆しています。
200足以上のバッシュを走破してきた専門的視点と実機検証に基づき、デザイン、重量、クッション、そして「ハーフサイズアップが必須」と言われる独自のサイズ感まで、この「最終形態」の真実を徹底解剖します。
- UNDER ARMOUR 「カリー13」の概要
- UNDER ARMOUR 「カリー13」の性能:最終形態の名に恥じぬ「オーバースペック」の真実
- UNDER ARMOUR 「カリー13」のサイズ感:精密なホールドと「0.5cm」の戦略的選択
- UNDER ARMOUR 「カリー13」を実際に使用した私の体験談レビュー:コートで覚醒する「鎧」の真価
- UNDER ARMOUR 「カリー13」に関するQ&A
- アンダーアーマーから出るカリーのバッシュは、これで最後なのですか?
- フローソールは滑りやすいと聞きましたが、本当ですか?
- クッションは「フカフカ」していますか?
- シューレース(靴紐)の穴が4つしかなくて、脱げそうになりませんか?
- 外(屋外コート)で履いても大丈夫ですか?
- サイズ選びに失敗したくないのですが、結局どうすればいいですか?
- 23,000円という価格は、正直高いと感じますが……。
- ステフィン・カリー本人のように「足首サポーター」を付けて履けますか?
- 前作のカリー12や、最近人気のFox 2から乗り換えて違和感はないですか?
- 踵(かかと)の抜け感やズレが心配なのですが……。
- 「慣らし(履き慣らし)」にはどれくらいの時間が必要ですか?
- カリー13は「ガード専用」のバッシュですか?
- 日本人に多い「幅広(ワイド)」な足でも本当に大丈夫ですか?
- 膝や腰に爆弾を抱えているプレーヤーでも履けますか?
- 部活動で毎日ハードに使う中高生にお勧めできますか?
- レビューのまとめ:カリー13が切り拓く、新たなバスケットボールの地平
UNDER ARMOUR 「カリー13」の概要

UNDER ARMOUR 「カリー13」について
『カリー13』は、単なる最新モデルではなく、アンダーアーマー×カリーブランドの歴史における「最終章」を飾るモニュメントです。
これまでのナンバリングに加え、スプラッシュ、フューチャーといった派生モデルまで含めた約30足以上の試行錯誤をすべて飲み込み、最も「タフで信頼できる」一足を目指して開発されました。
- 開発の背景: カリーの契約満了に伴い、ブランドの威信をかけて投入された「集体性(集大成)」。
- ポジショニング: 従来のスピード重視型から、高いサポート性能を持つオールラウンダー向けへ進化。
- 市場価値: 定価22,990円〜23,000円(税込)。ラストモデルとしてのコレクターズアイテム的な側面も持ち合わせています。
デザイン:鎧を纏った素足
一目見て感じるのは、これまでのスピードモデルのようなスリムさではなく、「鎧(アーマー)」のような堅牢さです。
- ビジュアルコンセプト:
アウトドアやトレッキングシューズ、あるいはリーボックの名作「ポンプフューリー」を彷彿とさせる、武骨で立体的なシルエットが特徴です。 - ディテール:
アッパーのメッシュ素材を覆うように配置されたサポートパーツが、視覚的にも機能的にも圧倒的な安心感を与えます。
重量:数値以上の安定感
「カリーシリーズ=超軽量」というこれまでの常識を、今作はいい意味で裏切っています。
| モデル名 | 参考重量 | 特徴 |
| Curry 13 | 約390g (29cm) | サポート性能向上のための意図的な増量 |
| Curry 12 | 約380g (28.5cm) | 軽さと接地感のバランス型 |
| Curry 7 | 約350g (29cm) | 歴代屈指のミニマルモデル |
| 一般的なバッシュ平均 | 約430g (29cm相当)※肌感覚です | 標準的なボリューム |
重量数値だけを見れば「歴代最軽量」ではありませんが、足との一体感が極めて高いため、プレー中に重さを感じることはありません。
むしろ、この重量増は「横ブレを完全に防ぐための剛性」という大きな武器に変換されています。
その他:細部に宿るこだわり
特筆すべきは、つま先まで巻き上がったフローソールです。
これにより、ユーロステップのような爪先を擦る動作でもアッパーが剥がれにくく、耐久性が劇的に向上しています。
UNDER ARMOUR 「カリー13」の性能:最終形態の名に恥じぬ「オーバースペック」の真実

カリーシリーズが長年追い求めてきたのは、「コートとの究極の対話」です。
しかし、今作『カリー13』はその対話の質を根本から変えました。
単なる軽量化の追求から、「あらゆる負荷に耐えうる高剛性なパフォーマンス」へのパラダイムシフト。
その驚異的な性能を、5つの項目から解剖します。
クッション性:沈み込みを排した「高応答・高反発」の極致
今作のクッションは、アンダーアーマー独自の「FLOW」単体構造を継続しながらも、その密度とセッティングを劇的に変化させています。
- 密度の最適化:
従来のFLOWよりも硬めに設定されており、沈み込みによるパワーロスを排除。 - 接地感:
「素足感覚」を維持しつつ、しっかりと足を保護する「厚み」と「硬さ」を感じる味付けです。 - 反発特性:
目指したのは「バッシュらしい反発」。目隠しをして履けば、従来のFLOW特有のフカフカ感ではなく、しっかりとした安定感とレスポンスを感じるはずです。
グリップ性:静寂が生む「最高峰のグリップ」とセパレートソールの進化
「Flow」テクノロジーがもたらすグリップ力は、もはや説明不要の領域にありますが、カリー13ではその「構造」にメスが入りました。
- 初のセパレート構造:
今作ではアウトソールを前後に分断し、中央を強固なシャンクプレートで繋ぐセパレートタイプを採用。
これにより、前足部の柔軟な屈曲と後足部の安定性が両立され、どんな角度からの切り返しにも最短距離で反応します。 - スキール音を置き去りにする制動力:
バッシュ特有の「キュッ」という音は、実はゴムと床の摩擦ロス。
カリー13のFlowソールは音を立てることなく、吸盤のように床を掴みます。
この「無音の制動力」は、相手ディフェンダーに次の一動作を予測させないという隠れたメリットも生みます。 - コートコンディションへの適応:
清潔なコートでは「史上最強」の名を欲しいままにするグリップを発揮しますが、埃(ホコリ)の吸着速度も一級品です。
しかし、ソールの硬度が増したことで、従来のモデルよりも「埃を払えば即座に回復する」復元力が向上しています。
フィット性:独創的な「4ホール・アイレット」と真空ホールド
一見すると不安を感じさせる「シューレースホールが4つしかない」という設計。
しかし、これは計算し尽くされた引き算の美学です。
- エンジニアードメッシュの柔軟性:
アッパーに使用されている高密度メッシュは、足を締め付けるのではなく、包み込むような質感を持ちます。
これにより、複雑な足の動きに対しても素材が追従し、ストレスのない屈曲を可能にしています。 - 中足部のロックダウン:
わずか4つのホールで紐を締めるだけで、中足部のサポートパーツが連動し、足をソールへと押しつけます。
この「真空パック」のような密着感が、急停止時の足のズレを完璧に封じ込めます。 - シュータンの設計:
極限まで薄く作られたシュータンは、甲への圧力を均一に分散。
紐による「食い込み(レースバイト)」を抑えつつ、足首周りの自由度を最大限に確保しています。
サポート性:激しい挙動をねじ伏せる「鎧」の剛性
これまでのカリーシリーズとの最大の相違点であり、今作が「最終形態」と呼ばれる所以が、この圧倒的なサポート性能にあります。
- TPUケージの防壁:
サイドに配置された大型のTPUパーツは、単なるデザインではありません。
強烈な横方向への負荷(ラテラル・ムーブメント)がかかった際、アッパーの伸びを物理的に阻止し、足をバッシュのフレーム内に留め続けます。 - アンチ・トルション(捻れ防止):
中足部に配置された強固なプレートが、過度な足の捻れを抑制。
ジャンプの着地や、無理な体勢からのリカバーにおいて、足首の保護をバッシュ自身が担う設計となっています。 - ヒールロックの安心感:
踵(かかと)を包み込むヒールカウンターは、硬すぎず柔らかすぎない絶妙なホールド感を提供。
カリー本人が使用するようなサポーターを装着せずとも、バッシュ単体でプロレベルの安定感を実現しています。
その他:耐久性とディテールの最適化
性能の総括として、プレーヤーの「使い勝手」に直結する細かな工夫も見逃せません。
- つま先のオーバーレイ:
Flowソールを爪先の上部まで巻き上げることで、ユーロステップやピボットの際に生じる「爪先の擦れ」からアッパーを保護。
これにより、1日目からアッパーが剥がれるといったトラブルを回避しています。 - サーマル・マネジメント(通気性):
高剛性なサポートパーツを配置しながらも、メッシュエリアの通気口を最適化。
シューズ内の温度上昇を抑え、蒸れによる不快感や足の滑りを防止します。 - スムーズな体重移動:
前後で剃り上がったソール形状により、かかと着地からつま先での蹴り出しまでの流れが極めてスムーズです。
これは「走り続ける」ガードプレーヤーにとって、脚の負担を軽減する大きな要因となります。
UNDER ARMOUR 「カリー13」のサイズ感:精密なホールドと「0.5cm」の戦略的選択

サイズ感の詳細分析:歴代モデルとの決別
私は私は通常NIKEで29cm、ASICSで28.5cm、前作のカリー12で28.5cmを選択していますが、今回の「カリー13」は29cmを選択しました。
カリー13のサイズを一言で表すなら、「標準的な縦の長さと、タイトな横幅・ボリューム」です。
多くのプレーヤーを悩ませた『カリー11』や『カリー12』では、「縦の長さが余るのに、横幅を合わせるためにサイズを下げられない」という、いわゆる「縦長問題」がありました。
しかし、カリー13ではこのラスト(足型)が刷新されています。
- 縦の長さ(レングス):
過去作よりも数ミリ短くなり、一般的なナイキやアシックスのグローバルラストに近い、標準的な長さに収まりました。
これにより、「つま先が余りすぎて踏ん張りが効かない」という不満が解消されています。 - 横幅(ウィズ):
ここが最大の注意点です。
中足部を包み込む「TPUケージ(サポートパーツ)」の影響で、横幅はかなり絞り込まれています。
特にアーチ(土踏まず)周辺のホールド感は強烈で、足を左右から「プレス」するような感覚があります。 - 甲の高さ(ボリューム):
全体的に低く抑えられています。
4つのシューレースホールを締める設計のため、甲が高いプレーヤーは紐を緩めても圧迫感を感じやすい構造です。
ユーザー属性別・推奨サイズガイド
足の形は千差万別です。
あなたの足型に合わせた最適な選択肢を以下の表にまとめました。
| 足のタイプ | 推奨サイズ選び | フィッティングの傾向 |
| 細身〜普通足 | 普段のサイズ (NIKEサイズorNIKEハーフダウン) | 異次元の「吸いつき」を体験できます。遊びが一切ない、まさに「真空パック」状態のフィット感です。 |
| 標準〜やや幅広 | 0.5cmアップ (NIKEサイズ) | 【最も推奨】 サイドパーツの圧迫を適度に逃がしつつ、縦の余りも許容範囲内に収まります。 |
| かなりの幅広・甲高 | 0.5cm〜1.0cmアップ (NIKEサイズorNIKEハーフアップ) | 1.0cm上げても、中足部のホールドが強いため踵が浮くリスクは低め。店舗での試着が必須です。 |
なぜ「ハーフサイズアップ」が黄金律なのか
カリー13のアッパー素材は柔軟なメッシュですが、サイドを支えるサポートパーツは「伸びない素材」です。
「履いているうちに馴染む」ことを期待してキツすぎるサイズを選ぶと、サイドパーツが足の骨(第5中足骨など)に干渉し、プレー中に激痛を伴うリスクがあります。
そのため、まずは0.5cmアップを基準に考えるのが、最も失敗の少ない「戦略的選択」となります。
UNDER ARMOUR 「カリー13」を実際に使用した私の体験談レビュー:コートで覚醒する「鎧」の真価

足を入れた瞬間に感じた「異質なホールド感」
「本当に紐が4つで足りるのか?」
——これが、私がカリー13を初めて手にした時の率直な疑念でした。
しかし、その不安は足を滑り込ませた瞬間に霧散しました。
足を入れると、まず土踏まずから踵にかけて、吸い付くような、あるいは「バキュームで空気を抜かれた」ような圧倒的な密着感に包まれます。
わずか4つのシューレースホールは、実は計算し尽くされた配置になっており、紐を引くと中足部のサポートケージが連動して足を左右から優しく、しかし強固にプレスします。
この感覚は、単なる「キツさ」ではなく、「足とシューズの間に1ミリの隙間も存在しない一体感」です。
最近の軽量バッシュにありがちな、素材の薄さゆえの心許なさは一切ありません。
体育館での初動テスト:スキール音が鳴らないのに止まる不思議
コートに足を踏み出し、最初のダッシュとストップを試みたとき、体育館に響くはずの「キュッ」という高い音が聞こえないことに驚きました。
多くのプレーヤーにとって、あの音はグリップ力の象徴ですが、カリー13(Flowソール)の世界では「静寂こそが最強の制動力」を意味します。
音が鳴らない代わりに、床のワックスに吸盤が吸い付くような「ヌチャッ」という手応えとともに、身体がピタリと静止します。
この「ゴースト・グリップ」とも呼ぶべき感覚は、一度体験すると病みつきになります。
ただし、前述した通りホコリには敏感です。
練習の合間に一度ソールを手で払うだけで、その「最高峰のグリップ」は即座に復活します。
この手間を惜しまない者だけが、カリー13の真の恩恵を受けられるのです。
実戦形式でのステップワーク:サイドへの切り返しの安心感
ゲーム形式の練習中、最も驚かされたのは、急激なクロスオーバーやサイドへのステップを踏んだ際の「壁」の存在です。
これまでのカリーシリーズ、特にFlowソールが全面的に採用されてからのモデルは、その柔軟さゆえに、強烈な負荷をかけた際にアッパーが外側へわずかに「逃げる」感覚がありました。
しかし、13は違います。
外側に配置されたサポートパーツが、どんなにえげつない角度で踏み込んでも、足を元の位置へ強制的に押し戻してくれる感覚。
まるで「足首に最高級のサポーターを内蔵している」かのような安心感。
この剛性があるからこそ、滑ることを恐れずに、一歩目の爆発力を最大限に床へ伝えることが可能になりました。
3時間プレー後の疲労度:硬めのクッションが脚に与える影響
今作のFLOWクッションは、近年のトレンドである「フカフカ系」とは対極にあります。
履き始めは正直「少し硬すぎるか?バッシュというよりトレーニングシューズに近いか?」と感じるかもしれません。
しかし、3時間の激しいプレーを終えた後の疲労感は、意外にも軽いものでした。
その理由は、「余計な沈み込みがないこと」にあります。
クッションが柔らかすぎると、着地のたびに足首や膝が微細なバランス調整を強いられ、それが蓄積疲労となります。
カリー13の硬めのセッティングは、着地時のブレを瞬時に収束させ、次の一歩へのエネルギーをロスなく地面へ返してくれます。
後半戦、誰もが脚を重くする時間帯でも、自分だけは「次の一歩が軽く出る」感覚。
これは、競技志向のプレーヤーにとって何物にも代えがたいベネフィットです。
歴代カリー(11・12)やFoxモデルとの決定的な違い
歴代モデルと比較すると、その進化の方向性が明確に見えてきます。
- カリー11・12との違い:
過去作は「しなやかさ」が売りでしたが、13は明確に「強さ」に振り切っています。
縦長だったラスト(足型)が適正化されたことで、サイズ選びのストレスも劇的に軽減されました。 - Fox 2との比較:
Fox 2が「獲物を狩るための瞬発力」を重視したナイフなら、カリー13は「どんな戦況でも崩れない」戦車です。
Fox 2よりもクッションに芯があり、より体重のあるプレーヤーや、パワー勝負を厭わないガードに適しています。
これまでカリーシリーズに「安定感不足」を感じて敬遠していた層にこそ、この13は衝撃を与えるはずです。
体験談の総括:これは「カリーのバッシュ」を超えた「汎用兵器」である
検証を終えて強く感じたのは、このシューズがもはや「ステフィン・カリーという稀代のシューターを支えるためだけの道具」という枠を飛び越えたということです。
圧倒的なグリップ、ブレないサポート、そして高いエネルギーリターン。
これらの要素は、シューターだけでなく、ドライブを武器にするスラッシャー、ゴール下で体を張るパワーフォワード、そして走ることを厭わない全てのオールラウンダーにとって、最高の武器になります。
アンダーアーマーが歩んできた13年間の進化の果て。
それは、特定の個人のためではなく、「バスケットボールという競技そのものを支配するための汎用兵器」の完成でした。
この一足を履いてコートに立つとき、あなたのプレーは、これまでの限界を超えた「最終形態」へとアップデートされるでしょう。
UNDER ARMOUR 「カリー13」に関するQ&A

UNDER ARMOUR 「カリー13」に関して、よく聞かれそうな質問とその回答をまとめました。
アンダーアーマーから出るカリーのバッシュは、これで最後なのですか?
現時点では「アンダーアーマー製の純正シグネチャーの最終形態」と言われています。
2025年11月にカリー本人とアンダーアーマーの契約が満了しており、彼は現在「スニーカー・フリーエージェント」の状態です。今後、カリーブランドがどのように継続されるかは不透明ですが、少なくとも「13」というナンバリングにおいて、アンダーアーマーが全力を注いだ最後の集大成であることは間違いありません。
フローソールは滑りやすいと聞きましたが、本当ですか?
「綺麗なコートでは最強、汚れたコートでは注意が必要」です。
カリー13に採用されているフローソールは、吸着力が非常に高く、整備されたコートでは「鬼ップ」と呼ばれる異次元の制動力を発揮します。ただし、埃(ホコリ)を吸い込みやすい性質があるため、滑りを感じたらすぐに手でソールを拭うのが鉄則です。今作はソールの剛性が高まったことで、埃の影響を以前よりコントロールしやすくなっています。
クッションは「フカフカ」していますか?
いいえ、どちらかと言えば「カッチリ」とした高反発な感触です。
沈み込みの深いソフトなクッションではなく、「エネルギーリターン」を重視した設計です。着地時の衝撃を即座に次の動作のパワーへ変換するため、レスポンスの速さを求めるガードプレーヤーには最適ですが、極上の柔らかさを求める方には少し硬く感じるかもしれません。
シューレース(靴紐)の穴が4つしかなくて、脱げそうになりませんか?
全く心配ありません。
わずか4つのホールですが、紐を締めるとサイドのTPUケージが連動し、足全体をソールに押し付けるように固定します。むしろ、従来の多すぎるホールよりも圧力が均一に分散され、高いロックダウン(固定力)を実現しています。
外(屋外コート)で履いても大丈夫ですか?
お勧めしません。
フローソールはラバーを使用していない特殊なフォーム素材です。今作は耐久性が向上していますが、アスファルトや粗いコンクリートのコートで使用すると、驚異的なグリップの代償としてソールが急激に摩耗し、寿命を著しく縮めてしまいます。基本的には「屋内専用」と考えるのが賢明です。
サイズ選びに失敗したくないのですが、結局どうすればいいですか?
「ハーフサイズ(0.5cm)アップ」が最も安全な選択肢です。 (NIKEのマイサイズ)
カリー13は中足部のサポートパーツが硬く、遊びのないタイトな設計になっています。ジャストサイズを選ぶとサイドが痛むリスクがあるため、まずは0.5cmアップを基準に試着することをお勧めします。これまでのモデルのような「縦が余りすぎる」問題も解消されています。
23,000円という価格は、正直高いと感じますが……。
「パフォーマンスの維持期間」を考えれば、投資価値は十分にあります。
これまでのカリーシリーズに欠けていた「サポート性」と「ソールの耐久性」が大幅に強化されています。すぐにアッパーが伸びたり、ソールが削れたりして買い換えるリスクが減ったことを考えれば、一足で長く戦える「最高の実戦兵器」として、決して高い買い物ではないはずです。
ステフィン・カリー本人のように「足首サポーター」を付けて履けますか?
結論から言うと、サポーターの種類によっては「かなり窮屈」になります。
今作はカリーシリーズ伝統の「サポーター前提の深いえぐり」が抑えられ、標準的なカットラインになっています。ザムスト(ZAMST)などの厚みがあるハードサポーターを使用する場合、履き口の狭さとタイトなフィッティングが干渉し、圧迫感が強くなる可能性があります。サポーター常用者は、必ずサポーターを持参して試着し、ワンサイズアップも視野に入れてください。
前作のカリー12や、最近人気のFox 2から乗り換えて違和感はないですか?
「安定感の向上」をポジティブに捉えられるなら、最高の移行先です。
カリー12やFox 2は「しなやかさ」と「接地感」を優先した作りでしたが、13はそこに「剛性」という要素を加えています。最初は足裏の硬さやサイドのサポートパーツに違和感を覚えるかもしれませんが、激しいステップを踏んだ瞬間に、13の方が「安心してパワーを伝えられる」ことに気づくはずです。
踵(かかと)の抜け感やズレが心配なのですが……。
ヒールロック性能は歴代でもトップクラスですので、ご安心ください。
今作はヒールカウンターが非常に強固に作られており、4つのホールを締めるだけで踵がバッシュの底へ引き込まれるように固定されます。もし抜け感がある場合は、サイズが大きすぎるか、ソックスが薄すぎる可能性があります。
「慣らし(履き慣らし)」にはどれくらいの時間が必要ですか?
激しいプレーで3〜5回(約10時間)程度が目安です。
アッパーのメッシュ素材と、中足部のサポートケージが足の熱で馴染むまで、最初は少し「パーツが足に当たる」感覚があるかもしれません。いきなり試合で使うのではなく、練習で徐々に時間を延ばしながら足に馴染ませていく「育成」の過程を楽しんでください。
カリー13は「ガード専用」のバッシュですか?
いいえ、今作は「全てのポジション」に対応できる汎用性を持っています。
これまでのカリーシリーズは、軽量すぎてパワー負けする印象があり、フォワードやセンターには敬遠されることもありました。しかし、13の圧倒的なサポート性とクッションのコシは、体重のあるプレーヤーや、ジャンプ後の安定性を求めるインサイドプレーヤーにとっても、非常に高い満足度を与えるはずです。
日本人に多い「幅広(ワイド)」な足でも本当に大丈夫ですか?
正直なところ、今作は「タイト」です。
メッシュ素材はある程度伸びますが、サイドを固めるTPUケージ(パーツ)は伸びません。足の幅が広い自覚がある方は、1.0cmアップも視野に入れてください。また、馴染むまでは中足部の締め付けで足が痺れることもあるため、最初はシューレースを少し緩めに設定し、徐々に慣らしていく戦術が有効です。
膝や腰に爆弾を抱えているプレーヤーでも履けますか?
「安定性」を求めるならプラス、「衝撃吸収」を求めるなら慎重に。
今作は左右のブレを抑える力が非常に強いため、着地時の足首の捻れによる膝への悪影響を減らせるメリットがあります。一方で、クッションは「反発重視(硬め)」のため、極上のクッションで衝撃を無効化したいと考えている場合は、インソールを衝撃吸収性の高いものへ交換することを推奨します。
部活動で毎日ハードに使う中高生にお勧めできますか?
「最高の相棒」になりますが、経済的な準備も必要です。
性能面では間違いなくトップレベルで、中高生の激しい動きを完璧にサポートします。ただし、価格が2万円を超える高額モデルであること、フローソールの特性上、コンディションの悪い体育館ではこまめな清掃が必要なことを理解した上で導入してください。「ここぞという時の勝負靴」として活用するのも一つの手です。
レビューのまとめ:カリー13が切り拓く、新たなバスケットボールの地平

カリー13を買うべき人・見送るべき人の明確な基準
どんなに優れたバッシュであっても、全てのプレーヤーにとっての正解とは限りません。
実機検証の結果から導き出した、忖度なしの判定基準がこちらです。
【迷わず買うべき人】
- 圧倒的な「制動力」を武器にしたいガード:
0.1秒のズレが命取りになるクロスオーバーや、ステップバックを多用するプレーヤーにとって、この「鬼ップ」は最強の武器になります。 - 「剛性」と「安心感」を重視するフォワード:
カリーシリーズの軽さは好きだが、激しい接触や着地時の不安定さが不安だった方。
今作の「鎧」のようなサポート性は、あなたのプレーを一段階上の強度へと引き上げます。 - 歴史の証人になりたいコレクター:
アンダーアーマー製の「カリー・シグネチャー」はこれで最後となる可能性が極めて高いです。
バスケ史に残る13年間の物語の結末を、その手で所有することには大きな意義があります。
【慎重に検討、あるいは見送るべき人】
- 極上の「柔らかいクッション」を最優先する人:
ナイキの「Zoom Air」の沈み込むような感触や、アディダスの「Boost」のようなフカフカ感を求めている場合、カリー13の「高剛性な硬さ」には違和感を覚えるかもしれません。 - 劣悪なコートコンディションでしかプレーしない人:
フローソールの最大の敵は「埃(ホコリ)」です。
整備の行き届かない、滑りやすい体育館でのプレーがメインであれば、ラバーソールモデルの方が無難な選択肢となります。
コスパ検証:2.3万円の価値は「耐久性」に集約される
22,990円(税込)という価格設定は、バスケットボールシューズ市場の中でも最上位クラスです。
しかし、これを単なる「高い買い物」と切り捨てるのは早計です。
「フローの最大の弱点であった耐久性が、今作でついに克服された」
これまでのフローソールは、グリップ力と引き換えに摩耗が早いという宿命を背負っていました。
しかし、カリー13のアウトソールは明らかに硬度が増しており、耐摩耗性が劇的に向上しています。
さらに、つま先まで巻き上がったソールがアッパーの剥がれを物理的に防ぐ設計は、1足の「寿命」を大幅に延ばします。
「1.5万円のバッシュを3ヶ月で履き潰す」のと、「2.3万円の傑作を半年以上、高いパフォーマンスのまま維持する」のとでは、どちらが真にコスパが良いかは明白です。
最終形態(ブロリー理論)が示したアンダーアーマーの意地
記事前半でも触れた「最終形態」という言葉。
これは単なる比喩ではありません。
カリー13は、アンダーアーマーが持てる全ての技術を惜しみなく投入し、スペックの暴力とも言える完成度に到達しました。
これまでのカリーシリーズが、カリー本人の「サポーター着用」を前提とした「引き算の美学」で作られていたのに対し、13は「バッシュ単体で完全無欠であること」を目指した「足し算の極致」です。
この方向性の転換こそが、アンダーアーマーがカリーとの13年間で辿り着いた、最後の「答え」だったのです。
購入時にチェックすべき店舗での試着ポイント
最高のパフォーマンスを引き出すためには、フィッティングでの微調整が不可欠です。
店舗で試着する際は、以下の3点を必ず実行してください。
- 「マイソックス」を持参する:
プレー時に履く厚手のバスケットボール用ソックスで必ず試着してください。
このバッシュは非常にタイトなため、普通の靴下ではサイズ感を誤ります。 - サイドステップ時の「当たり」を確認:
単に歩くだけでなく、少し強くサイドに踏み込んでみてください。
中足部のサポートパーツ(ケージ)が足の骨に干渉して痛みがないかを確認することが、後悔しないための最重要ポイントです。 - ヒールロックの確認:
4つのシューレースホールをしっかりと締め、踵(かかと)が浮かないかを確認してください。
もし踵が遊ぶ感覚があれば、厚手のインソールへの交換か、サイズの見直しが必要です。
将来的なプレミア価値とラストモデルとしての意義
スニーカー市場において「契約終了前のラストモデル」は、往々にして数年後に伝説化します。
カリーが今後どこのブランドへ移籍しようとも、アンダーアーマーと共に歩み、NBAの歴史を変えた13年間の象徴は、常にこの「13」であり続けるからです。
単に履き潰すための道具としてだけでなく、自身のバスケットボール人生を共にした「記念碑」として、デッドストック(観賞用)を1足確保しておく価値すら、このモデルには備わっています。
カリー13のレビュー結論:アンダーアーマー史上、最も「完成された」バッシュ
UNDER ARMOUR 『カリー13』を総括するならば、それは「一切の妥協を排した、純粋な勝利のための道具」です。
軽さ、グリップ、サポート、そして耐久性。
これまでトレードオフの関係にあったこれらの要素を、アンダーアーマーは最新テクノロジーと執念によって、高次元で一つにまとめ上げました。
ステフィン・カリーという天才のフィードバックと、アンダーアーマーの技術革新が起こした最後の化学反応。
その圧倒的なパフォーマンスをコートで体験できる私たちは、非常に幸福な時代に生きていると言えるでしょう。
この一足を履いてコートに立った瞬間、あなたは気づくはずです。
これまで「仕方ない」と諦めていた滑りやブレが、すべて過去のものになったことに。

